浸水対策
我が国の雨水排除計画は、今までは速やかに雨水を近傍河川等に排除する浸水対策を中心として行われてきました。しかし、都市化に伴う不浸透区域の拡大(流出係数の増大)により雨水総流出量やピーク流量が増加するなど、いわゆる「都市型水害」が発生してきています。
これらの対応には流出抑制対策なども行われてはいますが、流出量の増大に伴い雨水対策施設の規模が大きくなる傾向があり、より一層のコスト縮減を図る効率的な雨水整備計画を立案する必要がでてきました。また、合流式下水道雨天時越流水による公共用水域の水質汚濁問題(CSO問題)など、雨水排除計画について社会のニーズに呼応した検討項目の高度化・多様化が求められています
また、弊社では、ハイドログラフの作成や浸水状況を示す平面図・管内水位縦断図の作成、アニメーション表示等の出力結果によるプレゼンテーションが可能です。これは情報公開時などにおいても、市民にも解りやすく事業の有効性をアピールするための有効な手段となり得ると思われます。
流出解析モデルの概要
流出解析モデルは、大きく4つの要素に分けられます。
①降雨損失モデル
地表面貯留、浸透、蒸発散による降雨の損失を
モデル化し、降水量から地表面に流出する有効
降雨を算定する。
②表面流出モデル
有効降雨が地表面を流れる経過を運動力学的に
求め、ノードへの流入量を算定する。
③管内水理モデル
表面流出モデルより算出された各ノードでのハ
イドログラフを用いて、質量および運動量保存
則からなる「サンヴナン方程式」により管きょ
や河道等の流れを解析する。
④汚濁負荷量モデル
地表面汚濁物の堆積量および流出負荷量の算定
と管きょや河道等における水質の挙動を解析する
(浸水対策の検討においては考慮しない)
現況評価および問題点の把握 対策検討
シミュレーションによる現況の評価・再現
水文資料(雨量、水位、流量等)のある降雨
を対象として再現検討を行い、構築モデルの妥
当性を検証。
再現検討されたパラメータを用いて、浸水等
が発生した降雨に対する再現、もしくは計画降
雨に対して現状の管網評価を行い、各地点の時
系列データを蓄積。
問題点の把握
シミュレーションによる現状の評価・再現で
得られた時系列データ及び評価結果(画面)を
もとに、問題点の個所及び原因把握を行います。
対策案の立案
問題点の検討結果をもとに、改善対策が必要
な箇所の対策案を立案します。
対策施設のモデル化
立案された対策施設を流出・管内水理解析モ
デルでシミュレーションが可能な状態に形式化
・データ化を図ります。
対策案の評価
対策施設を組み込んだ施設計画に対し、既往
降雨・計画降雨・超過降雨等による施設のシミ
ュレーションを行い対策施設の妥当性を評価します。